12ヶ月点検(法定点検)はどこで受ける?ディーラー・整備工場・自分でやる場合の違いと記録簿のもらい方
12ヶ月点検(法定12か月点検)は、ディーラーでも町の整備工場でも受けられ、自分で行うことも法律で認められています。どこで受けた場合も、結果を書いた「点検整備記録簿」を車に置いておく決まりは同じです。
12ヶ月点検はどこで受ける?(要点)
- 受けられるのは、ディーラー、整備工場(認証工場・指定工場)、認証を受けているガソリンスタンドやカー用品店。自分で点検してもよい
- 自家用の乗用車と軽自動車は1年ごと。国土交通省の案内では点検項目は29項目
- 工場に頼むと、点検整備記録簿は工場が作って渡してくれる。保存は2年間
- 料金は工場が決める。車検と違い、重量税・自賠責保険料・検査手数料はかからない
この記事は車の持ち主の方に向けて、受ける場所ごとの違い、自分で点検するときの注意、記録簿のもらい方と見方、費用が何で決まるかを順に説明します。金額の相場は公的な資料が無いため載せていません。
12ヶ月点検(法定点検)とは。車検との違い
12ヶ月点検は、道路運送車両法第48条で車の使用者に義務づけられた定期点検のうち、自家用の乗用車と軽自動車が1年ごとに受けるものです。国土交通省は点検の内容を「1年ごとに29項目、2年ごとに1年ごとの29項目を含む計60項目」と案内しています。車検(継続検査)は、その時点で車が国の基準に合っているかを確かめる検査。12ヶ月点検は、次の1年を安全に走るために傷みや消耗を調べ、必要な整備をする点検です。受けなかったこと自体への罰則は同法にありませんが、義務であることは変わりません。基準に合わない状態の車には、国から整備の命令が出る場合があります(第54条)。
車検のある年は、車検と一緒に2年ごとの点検(24ヶ月点検)を受けます。12ヶ月点検は車検のない年の点検で、新車なら1年目と2年目、その後は車検と車検のあいだの年が対象です。
12ヶ月点検を受けられる場所と違い
点検を頼める先は大きく3つ、自分で行う場合を入れて4つです。
| 受ける場所 | 特徴 | 点検整備記録簿 |
|---|---|---|
| ディーラー | 扱っているメーカーの車の点検に慣れている。リコールの対象かどうかの確認も一緒に頼める | ディーラーが作成して渡す |
| 整備工場(認証工場・指定工場) | メーカーを問わず受ける工場が多い。国の認証を受けた工場は入口に標識がある | 工場が作成して渡す |
| ガソリンスタンド・カー用品店 | 認証を受けている店舗なら、ブレーキの分解などを伴う整備まで頼める | 店舗が作成して渡す |
| 自分で行う | 工賃はかからない。工具、知識、安全に作業できる場所が要る | 自分で記入する |
場所を選ぶときに見ておきたいのが、国の認証の有無です。ブレーキを分解する、エンジンを降ろす、自動ブレーキのカメラやレーダーを調整するといった作業は「特定整備」と呼ばれ、仕事として引き受けられるのは地方運輸局長の認証を受けた工場に限られます(道路運送車両法第78条)。点検でブレーキの部品交換が必要と分かったとき、認証工場ならその場で整備まで進められます。
認証工場は、入口付近に橙黄色または若草色の標識を掲げています。車検の検査まで自社で行える指定工場(民間車検場)の標識は青地に白い文字です。ディーラーの整備工場も、同じ認証や指定を受けて整備をしています。
近くの整備工場の探し方
ふだん付き合いのある工場が無い場合は、住んでいる市区町村から探すのが早道です。CarDex(カーデックス)は全国の自動車整備工場を都道府県と市区町村から探せる索引で、指定工場か認証工場かも確認できます。現在地の近くで車検や点検を頼める店を探すならculebeeも使えます。
候補が見つかったら、電話か店頭で次の3点を聞いておくと、当日の行き違いが減ります。
- 12ヶ月点検の基本料金と、その料金に含まれる作業の範囲
- 部品交換や追加の整備が必要になったとき、作業の前に連絡をもらえるか
- 点検にかかる時間と、代車の有無
自分で12ヶ月点検をする場合
定期点検の義務は車の使用者にあるため、使用者が自分で点検しても問題ありません。国土交通省も、定期点検はユーザーの義務だが専門的な知識と技術も必要なので、国の認証を受けた整備工場に依頼することもできる、と説明しています。
国の「自動車の点検及び整備に関する手引」は、点検の際の注意として次の4つを挙げています。
- 安全な場所を選ぶ
- ユーザー自身が定期点検の一部を行う場合は、知識と技量に見合ったものを行う
- 適切な機械・工具や測定器具を使う
- 車を持ち上げるときは、適切なジャッキ、スタンド、リフトを使う。車に備え付けの簡易なジャッキはタイヤ交換用
12ヶ月点検には、車の下にもぐって確かめる項目や、ブレーキの摩耗を測る項目が含まれます。自分でできない項目は整備工場に頼み、できる範囲だけ自分で行う形でもかまいません。行っていない点検に「異状なし」の印を付けないことが大切です。
自分で点検した場合は、点検整備記録簿も自分で書きます。書く内容は、点検の年月日、点検の結果、整備の概要、整備を完了した年月日、車の登録番号、点検時の総走行距離、点検した人の氏名です(道路運送車両法第49条、自動車点検基準第4条)。使用者本人が点検したときは住所を省けます。欄ごとの書き方は12ヶ月点検・定期点検整備記録簿の書き方、ユーザー車検と合わせて自分で書く場合はユーザー車検に点検整備記録簿は必要?自分で書く方法で説明しています。
点検整備記録簿のもらい方と見るところ
点検整備記録簿は、12ヶ月点検の結果と行った整備を書き残す紙で、車の使用者が車に置いておく決まりです(道路運送車両法第49条)。ディーラーや整備工場に点検を頼んだ場合は、工場が記入して、納車のときに請求書などと一緒に渡してくれます。受け取ったら車検証と同じ入れ物にしまい、記入した日から2年間は捨てずに保存してください。自家用の乗用車と軽自動車の保存期間は2年間と決められています(自動車点検基準第4条第2項)。もらっていないことに気づいたら、点検を受けた工場に早めに問い合わせてください。
受け取ったときは、次のところを見ておきます。
- 点検の年月日と総走行距離:次の点検時期の目安になります
- 点検した工場の名前と住所:あとで問い合わせるときに使います
- 項目ごとの記号:レは異状なし、×は交換、△は修理、Aは調整、Cは清掃、Tは締付、Lは給油、Pは省略、/は該当なし。×は「不良」の意味と誤解されがちですが、部品や油を交換したという印です
- 交換した部品や測った数値:ブレーキパッドの残りの厚さなどが書かれています
記号の詳しい見方は点検整備記録簿の記号の意味にまとめました。ブレーキの分解などの特定整備をした場合、認証工場は「特定整備記録簿」の写しも使用者に渡すことになっています(同法第91条第2項)。
工場で定期点検を受けると、フロントガラスに丸い「点検整備済ステッカー」が貼られます。次回の点検時期を外から見て分かるようにしたもので、裏面に工場名と次回の時期が書かれています。車検の期限を示す検査標章とは別のステッカーです。記録簿を無くしたときの対処は点検整備記録簿がない・紛失した場合の対処法をご覧ください。
12ヶ月点検の費用が決まる仕組み
12ヶ月点検の料金は、国が決めているものではなく、それぞれの工場が決めています。請求の中身は大きく2つに分かれます。
| 費用の種類 | 内容 | 金額が変わる理由 |
|---|---|---|
| 基本点検技術料 | 国が定めた定期点検の項目を点検する料金 | 車の大きさや種類、工場ごとの料金設定 |
| 追加の整備の料金 | 点検で必要と分かった部品や油の交換、調整の作業料と部品代 | 車の状態、走行距離、使う部品 |
同じ車でも、前の点検から多く走っていれば交換する部品が増え、総額は上がります。見積りを比べるときは、基本点検技術料だけで比べず、交換をすすめられた部品と理由まで聞いて判断すると納得しやすくなります。
車検のときに払う自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料(印紙代)は、12ヶ月点検ではかかりません。これらは車検の手続きにかかる費用だからです。車検の年にいくら必要になるかは、車検の法定費用計算ツールで車の重さと年数から計算できます。
よくある質問(FAQ)
12ヶ月点検は受けないと罰則がありますか?
自家用の乗用車と軽自動車について、12ヶ月点検を受けなかったこと自体への罰則は道路運送車両法に定められていません。ただし同法第48条で使用者の義務とされており、基準に合わない状態の車には、国から整備の命令が出る場合があります(第54条)。
12ヶ月点検はディーラー以外で受けてもよいですか?
受けられます。国の認証を受けた整備工場や、認証を受けているガソリンスタンド、カー用品店でも点検を頼めます。使用者が自分で点検することも認められています。
12ヶ月点検を自分でやってもよいですか?
定期点検は使用者の義務なので、自分で行えます。国の手引は、知識と技量に見合った範囲で行うこと、安全な場所と適切な工具を使うことを求めています。自分でできない項目は整備工場に頼んでください。
点検整備記録簿はどこでもらえますか?
点検を頼んだディーラーや整備工場が作成して渡してくれます。自分で点検した場合は自分で記入します。自家用の乗用車と軽自動車は、記入した日から2年間保存します。
12ヶ月点検で重量税や自賠責保険料はかかりますか?
かかりません。自動車重量税、自賠責保険料、検査手数料は車検の手続きで払う費用です。12ヶ月点検で払うのは、点検の料金と、必要になった整備の料金です。
12ヶ月点検の項目はいくつありますか?
国土交通省は、自家用の乗用車と軽自動車について、1年ごとの点検を29項目、2年ごとの点検を1年ごとの項目を含めて60項目と案内しています。走行距離が年間5千キロ以下で前回の点検を行っている場合は、行わなくてよい項目があります。
出典
- 道路運送車両法 第47条・第48条・第49条・第54条・第78条・第91条(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- 自動車点検基準 第2条・第4条・別表第六(e-Gov法令検索):https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800070
- 国土交通省「点検整備の種類」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/tenken/t1/t1-2/
- 国土交通省「自動車の点検及び整備に関する手引」:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha/tenkenseibi/images/t_tebiki.pdf
- 日本自動車整備振興会連合会「定期点検整備と点検整備済ステッカーについて」:https://www.jaspa.or.jp/user/mycar/tabid649.html
- 日本自動車整備振興会連合会「基本点検技術料」:https://www.jaspa.or.jp/member/explanation/fee01_02.html
法令と各資料は2026年10月11日に確認しました。
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