点検整備記録簿の記号の意味|レ・×・△・A・C・T・L・P早見表

点検整備記録簿を開くと、点検項目の横に「レ」「×」「△」「A」「C」「T」「L」「P」「/」といった記号が並んでいます。整備の現場では日常的に使われている記号ですが、意味を正確に説明できるでしょうか。

インターネット上には「×は不良」「Pは修理」といった誤った解説も少なくありません。この記事では、運輸局が示す「指定整備記録簿の記載要領」の作業区分にもとづいて、記号の正しい意味を整理します。新人検査員・新人整備主任者の教育資料としてもお使いいただけます。整備主任者の要件と法定研修は整備主任者になるにはで確認できます。

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点検整備記録簿の記号一覧(作業区分)

運輸局が示す指定整備記録簿の記載要領では、点検の結果と必要となった整備の概要を、次の作業区分に従ってチェック記号で記載することとされています。

作業区分 意味 チェック記号
点検 点検の結果、異状がなかった レ
交換 点検の結果、交換した(部品、油脂、液類の交換作業) ×
修理 点検の結果、修理した(摩耗、損傷などのため部品を修復する作業) △
調整 点検の結果、調整した(遊び、すき間、角度などを基準値に戻す作業) A
締付 点検の結果、締め付けた(緩んだ箇所を増し締めする作業) T
清掃 点検の結果、清掃した(粉塵、油などによる汚れを取り除く作業) C
給油 点検の結果、給油した(油脂、液類を補給する作業) L
省略 自動車点検基準の規定により行わないことができる項目について、点検を省略した P
該当なし 該当する装置が無い場合 /

アルファベットの記号は、いずれも英単語の頭文字が由来です。A=Adjust(調整)、T=Tighten(締付)、C=Clean(清掃)、L=Lubricate(給油)と結びつけると覚えやすくなります。

間違えやすい「×」と「△」

最も誤解が多いのが「×」です。一般向けの解説記事では「×=不良」と説明されていることがありますが、記載要領上の×は交換を意味します。部品・油脂・液類を交換したときに記入する記号です。

同様に「△」は修理です。摩耗や損傷のため部品を修復する作業を行ったときに使います。「要観察」や「次回まで様子見」という意味ではありません。

つまり、レ・×・△・A・T・C・Lはいずれも「点検した結果、何をしたか」を表す記号であり、不良を放置したことを示す記号ではないという点が重要です。

「P(省略)」と「/(該当なし)」の使い分け

この2つも混同されやすい組み合わせです。

  • P(省略):その装置は車両に付いているが、自動車点検基準の規定により点検を行わないことができる項目なので、点検を省略した場合に記入します。点火プラグの状態やブレーキ・パッドの摩耗など、走行距離によって省略できる項目が該当します。
  • /(該当なし):そもそも該当する装置が車両に無い場合に記入します。オートマチック車のクラッチペダル関連項目や、ディーゼル車におけるガソリン車固有の項目などが該当します。

装置が付いているのに斜線を引くと「点検すべき項目を対象外とした」ことになり、装置が無いのにレ点を入れると「実施していない点検を実施したと記載した」ことになります。どちらも記載の正確性を欠くため、監査で指摘される要因になります。

特定整備を伴った場合は記号を○で囲む

記載要領では、点検整備の際に特定整備を伴った場合には、チェック記号を○で囲むなどして記載するとされています。

市販の記録簿様式に「特定整備 ○」と凡例が印刷されているのはこのためです。かつて分解整備と呼ばれていた作業は、2020年4月の法改正で電子制御装置整備を含む「特定整備」に再編されました。エーミング作業などを伴った場合も、この扱いの対象になります。エーミングがどんな作業で、どの場面で必要になるかはエーミングとは?で説明しています。

整備の概要欄には部品名・測定値も記載する

記載要領では、整備の概要について「交換した主な部品(ブレーキ液、ブレーキ・ホース等)や測定結果(ブレーキ・ライニング、ブレーキ・パッドの厚み等)も必要に応じ記載する」とされています。

記号だけで済ませるのではなく、何を交換したか、実測値はいくつだったかを書き添えることで、記録簿としての価値が上がります。次回点検時の判断材料になり、ユーザーへの説明資料にもなります。

数値で記入する主な項目

記号ではなく実測値を数値で記入する項目もあります。代表的なものは次のとおりです。

  • ブレーキ・パッド、ブレーキ・ライニングの厚み(mm)
  • ブレーキ・ディスク、ブレーキ・ドラムの摩耗量(mm)
  • タイヤの溝の深さ(mm)
  • ブレーキ・ペダルの遊び、床板とのすき間(mm)
  • パーキング・ブレーキ・レバーの引きしろ(ノッチ数)
  • 制動力(kN または軸重に対する割合)
  • ヘッドライトの光度・光軸
  • サイドスリップ(mm/m)
  • 排出ガス濃度(CO%、HC ppm)

制動力の判定は、自動車検査証に記載された軸重をもとに計算する必要があり、前軸重に55kgを加えるといった細かな取扱いも定められています。手計算・電卓での処理はケアレスミスが起きやすい箇所です。

記号の記入ミスが招くリスク

点検整備記録簿は、その工場が適切に点検整備を行ったことを示す客観的な記録です。記号の誤用や記入漏れは、次のようなリスクにつながります。

  • 監査での指摘:記載漏れや記載内容の不備は行政処分の対象になり得ます
  • ユーザーとのトラブル:整備した・していないの認識違いの原因になります
  • 指定の維持への影響:指定整備記録簿の不備は指定工場の運営に直結します

説明の記録を残して行き違いを防ぐ方法は言った言わないのトラブルを防ぐにまとめています。

年々複雑化・多様化する検査基準に対して、正確な対応が求められています。ペナルティは非常に厳しいため、記入内容の念入りなチェックが欠かせません。

記入漏れと基準値違反をシステムで防ぐ

記号の記入は単純作業に見えて、項目数が多く、車両ごとに該当・非該当や省略の可否が変わるため、集中力を要します。入庫が集中する時期に1日何枚も記録簿を書けば、見落としはどうしても起こります。

点検整備の入力画面。記録簿と同じ並びで作業区分をクリック入力
点検整備の入力。記録簿と同じ並びで、作業区分をクリックして入れます(画面は見本)。

指定整備記録簿作成システムでは、複雑・多様化する検査基準を車検証の内容をもとにシステムが判定します。チェック機能があるため、記入漏れや基準値違反の数値は警告で気づくことができ、クリックで該当箇所にジャンプして確認できます。手計算が必要だった制動力などの判定も自動化されます。

パターン化している内容は保存しておいて一括反映でき、交換部品の名称は一度設定しておけば選ぶだけ。実際の記録簿とほぼ同じレイアウトで直感的に入力できるため、長期間検査員をしていなかった方でもすぐに慣れます。「新人検査員でも任せられる」という声は、このチェック機能によるところが大きいのです。

整備工場・指定工場の方へ

指定整備記録簿を、白紙のコピー用紙に1枚最短5分で

手書きで1枚約25分かかる記録簿を、パソコンやタブレットの入力で最短5分に。車検証の内容から検査基準をシステムが判定し、記入漏れや基準値違反は警告で知らせます。

  • 点検基準 別表3・4・5・6・7に全対応(指定車検・持ち込み車検・定期点検・分解整備)
  • 白紙のA3・A4コピー用紙に印刷。複写式用紙とドットプリンターは不要、社内保管はPDFで
  • 保安基準適合証・適合標章・点検ステッカーの日付も自動で計算
  • スキャナーで車検証を読み取るOCR入力にも対応
  • 一部の検査機器(テスター)との連動にも対応。詳しくはご相談ください

印字サンプルは、フォームに入力したメールアドレスへ自動返信でお届けします。

整備中の車のそばでタブレットから記録簿を入力している様子

よくある質問(FAQ)

点検整備記録簿の「×」はどういう意味ですか?

運輸局の指定整備記録簿の記載要領では、×は「交換」を意味します。部品、油脂、液類を交換したときに記入する記号です。「不良」の意味だと誤解されることが多いので注意してください。

点検整備記録簿の「△」はどういう意味ですか?

△は「修理」です。摩耗や損傷のため部品を修復する作業を行ったときに記入します。「要観察」や「次回まで様子見」という意味ではありません。

「P」と「/」の違いは何ですか?

Pは「省略」で、自動車点検基準の規定により点検を行わないことができる項目について点検を省略した場合に記入します。/は「該当なし」で、そもそも該当する装置が車両に無い場合に記入します。

A・T・C・Lはそれぞれ何を意味しますか?

Aは調整(Adjust)、Tは締付(Tighten)、Cは清掃(Clean)、Lは給油(Lubricate)です。いずれも英単語の頭文字が由来になっています。

特定整備を行った場合の記号はどう書きますか?

記載要領では、点検整備の際に特定整備を伴った場合にはチェック記号を○で囲むなどして記載することとされています。市販の様式に「特定整備 ○」と凡例が印刷されているのはこのためです。

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