点検整備記録簿の電子保存が解禁|2025年7月の改正と2028年の紙保適証廃止

2025年(令和7年)7月8日の省令改正で、自動車の使用者が車に備えておく点検整備記録簿を電子的に保存できるようになりました。これまで車に積んでおく記録簿は紙が前提でしたが、スマートフォンに保存したファイルや紙をスキャンしたデータでもよいことになっています。

指定整備記録簿と特定整備記録簿はすでに電子的な作成・保存が認められていたため、今回の改正で、整備工場が扱う記録簿のほぼすべてが電子化できる状態になりました。この記事では、改正の内容と条件、ユーザーに説明すべきポイント、車検の窓口で紙が必要な場面、整備工場が電子化を進めるときの準備を整理します。

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2025年7月の改正で何が変わったか

改正前は、自動車の使用者は点検整備記録簿(紙)を自動車に備え置かなければなりませんでした。ディーラーや整備工場の多くは記録簿の内容をすでに電子データで管理していますが、この要件を満たすために、別に紙の記録簿を作ってユーザーに渡していました。

事業者からの「指定整備記録簿や特定整備記録簿、自賠責保険証と同じように電子保存を認めてほしい」という意見を受け、省令が改正されました(東京都自動車整備振興会掲載の国土交通省資料「『電子』点検整備記録簿の解禁」)。

項目内容
公布・施行令和7年7月8日(公布の日に施行)
対象自動車の使用者が備え置く点検整備記録簿
認められた保存方法スマートフォン等の保存ファイル/SDカード等の外部メディアの保存ファイル/紙の点検整備記録簿のスキャンファイル
紙での保存引き続き可能
条件当局から提示を求められたとき、直ちに明瞭な状態で表示できること

「直ちに表示できること」が条件

電子保存が認められる条件は、提示を求められたときにその場ですぐ、はっきり読める状態で表示できることです。次のような理由で表示できない場合は、要件を満たさないとされています。

  • 端末が故障していて画面が映らない
  • バッテリーが切れていて電源が入らない
  • 電波の状況でファイルを開けない
  • 操作に慣れておらず、記録簿を画面に出せない

スマートフォンに保存したからといって安心はできません。整備工場がユーザーに電子データで記録簿を渡す場合は、保存場所と開き方を一緒に説明しておくと、トラブルを防げます。

車検の窓口では紙の記録簿が必要

電子保存ができるようになっても、運輸支局・自動車検査登録事務所・軽自動車検査協会の事務所などで検査を受けるときに点検整備記録簿を提示する場合は、書面の点検整備記録簿を提示することとされています(国土交通省「点検整備記録簿、特定整備記録簿及び指定整備記録簿の電磁的方法による作成、保存又は交付に関する取扱い」)。

ユーザー車検や持ち込み検査では紙が必要になるため、「普段はデータで持ち、必要なときに印刷する」運用が現実的です。工場側にとっては、データからいつでも様式どおりに印刷できることが大事になります。

白紙に印刷した記録簿とPDF保存のイメージ
白紙のA3・A4コピー用紙に印刷。社内保管はPDFで(画面は見本)。

整備工場が記録簿を電子化するときに求められること

整備工場が記録簿を電子で作成・保存する場合は、国土交通省の取扱いで、システムと運用の両面に要件が示されています。単にPDFをフォルダに入れておくだけでは足りません。

区分求められること
検索記録簿の電子データを検索できる
移行電子データを別の記録媒体へ移せる
履歴作成・保存・更新・消去の日時、更新箇所、作業者を自動で記録する
改ざん防止保管場所を決め、施錠するなどして不正な改ざんを防ぐ
バックアップデータが消えないように対策する
権限自動車検査員・整備主任者・起票者などの権限ごとにIDとパスワードを管理する
入力チェック記載項目や入力権限についてエラーを検出し、入力漏れや誤操作を防ぐ
様式指定整備記録簿は、表示・印刷したときに指定自動車整備事業規則第10条の2の様式であること

要件の一つひとつは整備記録簿の電子保存(電磁的記録保存)の要件|国交省の取扱いを解説で条文に沿って説明しています。

紙と電子、整備工場の運用はどう変わるか

作業紙の運用電子化した運用
作成複写式用紙に手書き、またはドットプリンターで印字パソコン・タブレットで入力し、白紙のコピー用紙に印刷
ユーザーへの交付紙の控えを渡す紙で渡す、またはデータで渡す(使用者の承諾を得る)
工場での保管キャビネットに2年分を保管データで保管し、検索で探す
車検の窓口紙をそのまま提示必要な分を印刷して提示

特定整備記録簿の写しをデータで交付する場合は、あらかじめ交付の方法を示して使用者の承諾を得ること、閲覧や印刷の方法を説明することが求められています。承諾が得られなければ紙で交付します。点検整備記録簿や指定整備記録簿を事実上データで渡す場合も、これに準じて扱うとされています。

2028年1月から紙の保安基準適合証は原則廃止へ

記録簿と並んで、保安基準適合証も電子化が進んでいます。国土交通省は2026年(令和8年)2月26日付の通知(国自情第355号・国自整第247号)で、2028年(令和10年)1月以降、運輸支局等の検査窓口の受付を「自動受付機」で行い、紙の保安基準適合証と紙の自賠責保険証明書の取扱いを原則廃止する予定であることを示しました(国土交通省「令和8年度 整備主任者研修 法令研修 全国共通教材」159ページ)。

時期内容
2017年(平成29年)4月継続検査のワンストップサービス(OSS)開始。OSSでは電子の保安基準適合証が前提
2017年(平成29年)11月継続検査の申請では、OSSかどうかにかかわらず原則電子で保安基準適合証を提出するよう周知
2025年(令和7年)7月使用者が車に備える点検整備記録簿の電子保存を解禁
2028年(令和10年)1月検査窓口の受付を自動受付機に。紙の保安基準適合証・自賠責保険証明書の取扱いを原則廃止の予定。整備振興会も紙の保適証様式の作成・配布をやめる

紙の保適証を使っている指定工場は、2027年中に電子保適へ移る準備が必要です。保適証は指定整備記録簿の内容にもとづいて作るため、記録簿の作成からデータでつながっていると、移行後の入力の手間も減らせます。

電子化を始めるときの順番

  1. 作成をシステム化する:手書きをやめ、入力したデータから様式どおりに印刷できる状態にする
  2. 保管を電子にする:PDFなどで保存し、車両や日付で検索できるようにする
  3. 運用ルールを決める:管理責任者、IDの付与と廃止、バックアップの方法を管理規程にまとめる
  4. ユーザーへの交付方法を決める:紙で渡すか、データで渡すか。データの場合は承諾と説明の手順を用意する

最初の一歩は「作成のシステム化」です。記録簿をデータで作れるようになれば、保管も検索も印刷も、その延長で整えられます。

整備工場・指定工場の方へ

指定整備記録簿を、白紙のコピー用紙に1枚最短5分で

手書きで1枚約25分かかる記録簿を、パソコンやタブレットの入力で最短5分に。車検証の内容から検査基準をシステムが判定し、記入漏れや基準値違反は警告で知らせます。

  • 点検基準 別表3・4・5・6・7に全対応(指定車検・持ち込み車検・定期点検・分解整備)
  • 白紙のA3・A4コピー用紙に印刷。複写式用紙とドットプリンターは不要、社内保管はPDFで
  • 保安基準適合証・適合標章・点検ステッカーの日付も自動で計算
  • スキャナーで車検証を読み取るOCR入力にも対応
  • 一部の検査機器(テスター)との連動にも対応。詳しくはご相談ください

印字サンプルは、フォームに入力したメールアドレスへ自動返信でお届けします。

整備中の車のそばでタブレットから記録簿を入力している様子

よくある質問(FAQ)

点検整備記録簿の電子保存はいつから認められましたか?

令和7年(2025年)7月8日に公布され、同日に施行されました。自動車の使用者が車に備える点検整備記録簿を、紙だけでなく電子的に保存できるようになりました。

どんな方法で電子保存できますか?

スマートフォン等に保存したファイル、SDカード等の外部メディアに保存したファイル、紙の点検整備記録簿をスキャンしたファイルのいずれかです。紙での保存も引き続き認められています。

スマートフォンの電池が切れて表示できなかった場合はどうなりますか?

当局から提示を求められたときに直ちに明瞭な状態で表示できることが条件です。故障、バッテリー切れ、電波状況、操作に不慣れといった理由で表示できない場合は要件を満たしません。

車検のときもスマートフォンで記録簿を見せればよいですか?

いいえ。運輸支局、自動車検査登録事務所、軽自動車検査協会の事務所等で検査を受けるときに点検整備記録簿を提示する場合は、書面の点検整備記録簿を提示することとされています。

整備工場が記録簿を電子で作成・保存するときに必要なことは何ですか?

国土交通省の取扱いでは、記録を検索できること、作成・更新・消去の日時と作業者を自動で記録すること、改ざんの防止、バックアップ、権限ごとのID管理、入力エラーの検出などが求められています。

紙の保安基準適合証はいつまで使えますか?

国土交通省は、2028年(令和10年)1月以降、運輸支局等の検査窓口で紙の保安基準適合証と紙の自賠責保険証明書の取扱いを原則廃止する予定としています(令和8年2月26日 国自情第355号・国自整第247号)。指定工場は電子保適への移行が必要です。

指定整備記録簿も電子で作成してよいですか?

電磁的記録による作成・保存が認められています。ただし、表示または書面にしたときに、指定自動車整備事業規則第10条の2に定める様式であることが必要です。

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