指定整備記録簿の記載例と書き方|作業区分・制動力・訂正方法まで

指定整備記録簿は、指定自動車整備事業者(いわゆる指定工場・民間車検場)が作成する記録簿です。道路運送車両法第94条の6にもとづき、保安基準適合証を交付する前提となる検査の結果を記録します。

点検整備記録簿とは根拠条文も作成主体も異なり、監査で必ず確認される重要書類です。この記事では、指定整備記録簿の記載要領、記載例、訂正方法、保存期間まで、運輸局が示す記載要領にもとづいて整理します。

指定整備記録簿とは

指定整備記録簿は、指定自動車整備事業者が、指定自動車整備事業規則第6条第1項各号に掲げる点検を行い、その結果と必要となった整備の概要を記録する書類です。

項目 内容
根拠条文 道路運送車両法 第94条の6
作成主体 指定自動車整備事業者(指定工場)
保存期間 記載の日から2年間
様式 指定自動車整備事業規則 第10条の2に定める様式

指定工場は、この記録簿にもとづいて保安基準適合証(保適証)を交付します。記録簿の記載内容が不正確であれば、適合証の信頼性そのものが揺らぐことになります。

「点検及び整備の概要等」欄の記載要領

運輸局が示す記載要領では、次のように定められています。

  • それぞれの点検項目について、作業区分に従ってチェック記号を用いるなどして、点検の結果および必要となった整備の概要を記載する
  • 整備の概要については、交換した主な部品(ブレーキ液、ブレーキ・ホース等)や測定結果(ブレーキ・ライニング、ブレーキ・パッドの厚み等)も必要に応じ記載する
  • 点検整備の際に特定整備を伴った場合には、チェック記号を○で囲むなどして記載する

作業区分とチェック記号

作業区分 意味 作業例 記号
点検 点検の結果、異状がなかった
交換 点検の結果、交換した(部品、油脂、液類の交換作業) ブレーキ・ライニングの交換、ホイール・ベアリングの交換、カメラ・レーダーその他のセンサーの交換 ×
修理 点検の結果、修理した(摩耗、損傷などのため部品を修復する作業) タイヤのパンク修理、カメラ・レーダーその他のセンサーの修理
調整 点検の結果、調整した(遊び、すき間、角度などを基準値に戻す作業/スキャンツール等で機能調整する作業) ブレーキ・ドラムとライニングとのすき間調整、クラッチ・ペダルの遊び調整、センサーの機能調整 A
締付 点検の結果、締め付けた(緩んだ箇所を増し締めする作業) ホイール・ナットの増し締め、リーフ・スプリングのUボルトの増し締め T
清掃 点検の結果、清掃した(粉塵、油などによる汚れを取り除く作業) ブレーキ・ドラム内の汚れの清掃、バッテリのターミナル部の清掃 C
給油 点検の結果、給油した(油脂、液類を補給する作業) エンジン・オイルの補給、シャシ各部の給油脂 L
省略 自動車点検基準の規定により行わないことができる項目について、点検を省略した 点火プラグの状態、ブレーキ・パッドの摩耗 P
該当なし 該当する装置が無い場合

センサー類の交換・修理・機能調整が作業例として明記されているのは、自動運行装置や運転支援装置の普及を受けた改正の反映です。エーミング作業を行った場合の記載も、この区分に沿って行います。

制動力の記載と判定

指定整備記録簿でとくに注意が必要なのが制動力の記載です。運輸局の記載要領では、細かな取扱いが定められています。

軸重及び車両重量について

各軸重を測定することが困難な場合は、次のように扱います。

  • 自動車検査証に記載されている前軸重に55kgを加えた値を前軸重欄に記載する(前二軸の場合は前前軸重に55kgを加える)
  • 後軸重欄は、自動車検査証に記載されている後軸重の軸重を記載する

前軸の全車輪がロックした場合

ロックする直前の制動力を測定し、該当する車輪欄に測定値を記載するとともに、前軸重欄付近に「全車輪ロック」と記載します。

ただし、制動力の総和を審査時車両状態における自動車の重量で除した値が4.90N/kg以上(制動力の計量単位としてkgfを用いる場合は、制動力の総和が審査時車両状態における自動車の重量の50%以上)ある場合は、「全車輪ロック」と記載する必要はありません。

降雨等の天候条件によりブレーキ・テスタのローラが濡れていると自動車検査員が判断した場合には、4.90N/kgを3.92N/kgに、50%を40%にそれぞれ読み替えて適用し、制動力の総和を自動車の重量で除した値の欄に「湿」または「W」と記載します。

なお、後軸の全車輪がロックした場合は「全車輪ロック」と記載しません。

指定整備記録簿の訂正方法

記載を誤った場合、修正液や修正テープで消すことは認められません。公的な記録としての信頼性を損なうためです。

一般的な訂正方法は次のとおりです。

  1. 誤った記載に二重線を引く
  2. 正しい内容を近くに記載する
  3. 訂正箇所に訂正印を押す(自動車検査員または整備主任者の印)

訂正が多数に及ぶ場合は、記録簿を作り直したほうが確実です。ただし手書きの場合、作り直しは20〜30分の作業をもう一度繰り返すことを意味します。

新様式への対応

指定整備記録簿の様式は、法改正や検査項目の追加にあわせて改正されます。近年では、特定整備制度の開始(2020年4月)による分解整備から特定整備への再編、OBD検査の導入(2024年10月)など、記載事項に影響する制度変更が続いています。

様式が改正されると、旧様式の複写式用紙は使えなくなります。在庫を大量に抱えていた場合、そのぶんが無駄になるという問題もあります。

システムで記録簿を作成していれば、様式の更新はプログラム側の対応で済み、用紙の入れ替えは発生しません。

指定工場にとって記録簿の正確性は「指定の維持」に直結する

指定整備記録簿は、監査で必ず確認される書類です。記載漏れ、記載内容の不備、保存漏れは行政処分の対象になり得ます。ペナルティは非常に厳しく、指定の維持そのものに影響します。

年々複雑化・多様化する検査基準に、手書きと電卓で正確に対応し続けるのは容易ではありません。とくに入庫が集中する時期は、1日に何枚も記録簿を仕上げる必要があり、ケアレスミスのリスクが高まります。

数値判定補助とチェック機能で正確性を確保する

指定整備記録簿作成システムは、複雑・多様化する検査基準を、車検証の内容を元にシステムが判定します。制動力の判定計算のように、軸重から算出する必要がある項目も自動化されます。

チェック機能があるため、記入漏れや基準値違反の数値は警告で気づくことができ、クリックで該当箇所にジャンプして確認できます。数値判定補助機能により、安心して正しい検査を行うことが可能です。

導入した工場からは「記載ミスがなくなり、記録簿発行の安心感が格段に高まった」「ミス記入がなくなったことは絶大な安心感」「入庫台数の多い時期での精神的負担がなくなった」といった声が寄せられています。整備指示書に保安基準を印字することもでき、現場での確認作業を支えます。

記録簿の作成に1枚20〜30分かかっていませんか?

指定整備記録簿作成システムなら、パソコン・タブレットの入力で1枚あたり最短5分。車検証の内容から検査基準をシステムが判定し、記入漏れや基準値違反は警告でお知らせします。保適証・標章・点検ステッカーの日付も自動計算。白紙のA3・A4コピー用紙に両面印刷できるので、複写式用紙もドットプリンターも必要ありません。

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よくある質問(FAQ)

指定整備記録簿とは何ですか?

指定自動車整備事業者(指定工場)が、指定自動車整備事業規則第6条第1項各号に掲げる点検の結果と整備の概要を記録する書類です。道路運送車両法第94条の6にもとづき、記載の日から2年間保存する義務があります。

指定整備記録簿で特定整備を行った場合はどう記載しますか?

運輸局の記載要領では、点検整備の際に特定整備を伴った場合にはチェック記号を○で囲むなどして記載することとされています。

各軸重を測定できない場合の制動力の記載方法は?

自動車検査証に記載されている前軸重に55kgを加えた値を前軸重欄に記載します(前二軸の場合は前前軸重に55kgを加える)。後軸重欄は車検証記載の後軸重をそのまま記載します。

前軸の全車輪がロックした場合はどう記載しますか?

ロックする直前の制動力を測定して該当する車輪欄に記載し、前軸重欄付近に「全車輪ロック」と記載します。ただし制動力の総和を審査時車両状態の重量で除した値が4.90N/kg以上ある場合は記載不要です。なお後軸の全車輪がロックした場合は記載しません。

指定整備記録簿を書き間違えたときの訂正方法は?

修正液や修正テープの使用は認められません。誤った記載に二重線を引き、正しい内容を記載したうえで訂正印を押すのが一般的です。訂正が多数に及ぶ場合は作り直したほうが確実です。

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